HPL 地域のディネの間では、自分たちの権利を守るため、 HPL チャピターを設立すべきだということも議論されています。昨年12月にはナバホ・ネイション大続領、ケルシー・ベガイとノン・サイナーの間で会談がなされ、チャビターの設立はじめ、長い闘争で病んだ HPL のディネを癒すための、ヒーリング・セレモニーの実施など、数々の要請がなされました。大統領との会談は現在も引き続き行われています。

同じアメリカ先住民であるホピ部族政府が、石炭会社の政治的歴史的陰謀によって巧みに操られた、非人情な「法律」をたてにして、伝統的なディネの人々の暮らしを抑圧するとは、とても悲しい話だと思います。
しかし、抑圧しているのは部族政府であり、ホピの伝統派はそういった部族政府のやり方の数々に異論を唱えていることを、ここで改めて強調しておきたいと思います。

「……ホピとナバホは昔から長い間平和に暮らしてきた。わしたちにはわしたちの間の合意を封印したメディスン・バンドルがある。これはひじょうにスビリチュアルなものだ。アメリカ合衆国の作った『部族政府』という名の傀儡政権が、ホピとナバホの分断をもたらしたのだ。根も葉もない部族間の闘争をつくりだし、近代の間違った『土地の権利』という概念を持ち込んだ。」
（ホピ伝続派、マーチン・ガスウェセウマ）

デッド・ライン以後、人々の間でのもっばらの話題にホピ部族政府行政裁判所で行われている 3 つの立ち退き裁判があります。現在まで 2 つの判決が言い渡されました。まず最初に判決が言い渡されたのが、ウォークやサンダンス、JIM で御馴染みの方もいると思いますが、長年のナバホ・ラグを通してHPLの強制移住抵抗者を経済的側面から支援してきたカリフォルニア出身の白人女性サポーター、アイリーン・ハミルトンの立ち退き裁判です。彼女は、「ウィービング・フォア・フリーダム」を主催し、アメリカ合衆国及びヨーロッパでビッグマウンテン支援のためのラグ・ショーをオーガナイズしてきました。彼女は昨年 5 月半ばから 7 月初めまでの一か月半、ポーリーン・ホワイト・シンガーの居住地で、「ビース・キャンブ」（あるいは「ウィットネス・キャンブ」、「エデュケーショナル・キャンブとも呼ばれる）と称し、ナバホ語、ナバホの歴史、ナバホ文化、ナバホ料理、ナバホ織り（糸紡ぎ、草木染め、織り）などの各講座を開催し、カリフォルニアの学生に現地学習として実際の学部の単位に組み込まれる、教育的なプログラムを実施しました。
（日本でお馴染みのバヒ・キャダニー氏は、ここでナバホの歴史の講義を担当した）

【写真右上】
ピース・キャンプでのナバホ織りのクラス
右端後方がアイリーン・ハミルトン、右手前にロバータ・ブラックゴートの姿がある。他はカリフォルニアからやってきた学生。

それがホピ部族政府に無許可の危険な集会とみなされ、2 年間の HPL 地域立ち退きの判決を受けたのです。2 年後に HPL 地域に立ち入るには、ホピ部族政府の許可を必要とする条件付きです。アイリーン側はこの判決を不服として上訴しており、11 月に再びホピ部族司法裁判所にて審議が行われます。

さて、デッド・ラインを 7 か月過ぎた現在も、HPL での人々の暮らしは続いています。すでに大部分の家族の羊は、頭数制限によって減らされてしまいました。しかし、中には現在も100 頭以上の羊を所有している家族もあります。今年の 5 月に、ホピ部族政府によって家畜目録を作成するため調査が行われましたが、このような家族はたぷん巧みに羊を調査の目。から退けているのだと憶測されます。一見平和で牧歌的なビッグマウンテン地域ですが、。ホピのレンジャーが四六時中監視しており、人々ヘプレッシャーは今も変わることなく続いています。

最後になりましたが、カリフォルニア州、サンフランシスコの第 9 巡回裁判所で審議中だったメニー・ビーズ・ケースの再審議が、4 月 18 日、却下されたことを付け加えて括きます。新聞によると、本件が却下されたのは、「ホピ部族政府の参加が欠けているため」という訴訟手続き上の理由によるもので、実際に内容が審議されたわけではありません。このニュースは現地の人間にとって、ひじょうに悲しいニュースでした。この日ビッグマウンテンの空が灰色の雲ですっぽり覆われていたのを今でも覚えています。この二ュースが伝わった直後、ジョン・ベナーリは、「どうして連邦政府は、俺たちの宗教の自由を尊重してくれないのだ。俺たちの宗教では大地との絆を守ることを教えている。それはキリスト教の教えと同様尊いものなのだ。どうしてそれを分かってくれないのか。」と悲痛に歪んだ表情で語りました。各ノンサイナーは、それぞれ最高裁判所に上訴することになります。

聖地ビッグマウンテンを守る戦いは今なお続いています。たとえどんなことがあろうとも、私たちは彼らをサポートしなければなりません。この破滅にむかった近代物質文明を救う鍵は、彼らの文化の中に存在しています。私たちは彼らの文化を学ばなければなりません。そして行き過ぎた人間中心の文明の愚かさを反省し、真に自然と共に、大地と共に生きる人間本来の生き方に戻らねばなりません。そこにしか人類の未来はないと私は確信しています。引き続きビッグ・マウンテンヘのサポートをお願いいたします。各機関に抗議の手紙を書いて、外部の声を伝えることはとても有効なことと思います。文末に各概関の住所を記載しますので、参考にして下さい。また現地で強制移住に抵抗するノンサイナーに激励の手紙を書いて下さい。

なお現地では常時、各家庭の手伝いをするサポーターを必要としています。現地で手伝いたいという方は Walk in Beauty Project までご連絡ください。

また、現在現地では、ホピ・レンジャーやホピ部族警察の動きを監視するための無線ラジオを必要としています。寄付してくださる方がおりましたら御連絡下さい。

President George Bush（アメリカ合衆国大統領）
1600 Pennsylvania Avenue
Washington D.C., 20002
Fax : 202-456-2461

Senator John McCain（強制移住法を成立させた貴任者）
838 Hart Senate Office Building
Washington D.C., 20510-6450
Fax : 202-228-2862

Judge Carroll（A・A を審議した法延の裁判官）
United Staes District Court
230 N. First Ave.
Phoenix, AZ 85025

Chairman Wayne Taylor, Jr.（ホピ部族政府議長）
HOPI Tribe
Kykotsmovi, AZ 86039
※一連の立ち退き裁判に関する抗議、及び A・A の執行に対する抗議の手紙の宛先

President Kelsey Begay（ナバホ・ネイション大統領）
Navajo Nation
Window Rock, AZ 86515
Fax : 520-871-4025

Kevin Gover, Assistant secretary（合衆国インディアン局）
Bureau of Indian Affiars
1849 C Street, NW
Washington D.C., 20240
Fax : 202-208-6334

Fred Chavez（合衆国インディアン局）
Bureau of Indian Affiars
Keams Canyon, AZ 86034
Tel : 520-738-2225
Fax : 520-738-2249

Chris Bavasi（ナバホ・ホピ・インディアン移住委員会）
Navajo Hopi Indian Relocation Commission
E. Birch Ave.
Flagstaff, AZ 86001